ヨーロッパ視察の報告①

7月にパリで開催された、人と動物に関する学会の世界大会への出席と、イギリスでのホースセラピー、RSPCA(英国王立動物虐待防止協会)、フランスでの精神科病棟におけるいわゆるドックセラピー、ドイツの動物の保護施設「ティアハイム」などの視察に行ってきました。
私が書いた、それら視察の報告書が、なんとJAHA(日本動物病院協会)のニュースレターに掲載されました。
イギリスでの体験をメインにとの依頼であったことから、今回はホースセラピーについて書かせていただいています。
学会、精神科病棟、ティアハイムなどについてもご報告させていただく機会もあればいいのですが。
ということで、嬉しすぎるので、皆様へもご報告させていただきます(*^^*)
よろしければご感想お待ちしております。
ダラダラと無駄に長い文ですので、本当におヒマな時にでも目を通していただけると嬉しいです。
人と動物の関係を巡る
=2016 IAHAIOパリ大会ほかヨーロッパツアーからロンドンのホースセラピー視察の報告=
ヒースローに到着すると、私たち一行はバスに乗り換え、初めての景色を車窓に、口々に旅の感想を述べ合った。
石造りの重厚な建物、伝統を感じる街並み、連なる縦列駐車、美しい花々。
子供の様な眼差しの先に広がる景色に、間違いなくイギリスに来たと感じる。
次第に街並みは込み合い、絵本の世界のようなマーケットや雑貨店が軒を連ね始めた。
突如として目を疑うほどの広大な草原が目の前に広がる。
ビルの代わりにポツポツと点在する大きな木々は、後に樹齢800~1000年のオークと知る。
ニューヨークはセントラルパークの3倍、東京ドーム217個分に相当する、ここリッチモンドパークの森の中のステイブルが今回の旅の最初の目的地だ。
ここは元々王族の狩猟馬の管理や調教を行っていたが、その後、時代によって役割や管轄を変え、今はいわゆるホースセラピーをメインに行うそうだ。
エントランスを抜け、まず飛び込んできたのは、500年前のレンガ造りの建物。
そして、そこにハンギングされたペチュニアであろうか、色とりどりの花々。
一面草色の幻想的でありながら、ある種単調な風景の中にいた私たちの心には、色彩ある景色が覚醒と思考を与える。
それはまるで意図されたかのようで、セラピストのセッションのはじまりはここから、いや、もしかしたらロイヤルパークへ入るゲートから既に始まっていたのかもしれない。
石畳の通路の先にはセラピーで使用する小さな菜園がある。そして、いくつかの建物を抜けると、一面にパスチャーが広がり、西部劇のペイントホースに似た馬たちが放牧されていた。
 
私はここに来るまで、実は一度も動物介在療法に携わったこともなければ、それがどういった医療であるのかを深く学ぶこともなかった。
もっといえば、恥ずかしながらこのヨーロッパツアーでAAA、AAE、AATという言葉を知った。
だが、それは強みであると自分では捉えるようにしていた。
ヒューマンアニマルボンドやワンヘルスという言葉も十分に理解していない私にとって、このツアーで見るものや、参加メンバーである先生方からのお話は、無知な私にはセオリーやメソッドなどの型にはまらず、素直に「見る」ことができるからだ。
 
馬を前に、所長であり心理学者でもあるアンドレスさんの説明が始まる。
まずは障害を持った子供たちへのプログラムについて。
ここに来る障害児の多くは言葉が上手く喋れないという。しかし、馬も喋れない。親はその言葉のない関係から生まれる「何か」を見守るという。
彼曰く「多くのセラピストは話をさせようとするが、ここでは心を大切にする」ということだった。

企業向けのプログラムもあるという。
つい先日はシアトルに本社を置く世界的企業M社が企業研修で訪れたそうだ。
ここで初めて「サイレントランゲージ」というキーワードが出てきた。
言葉を使わず馬をマネージメントするときに生まれるエネルギーのことを指すそうだ。
例えば、ディレクターはなかなか馬をコントロールすることができないのに、秘書はなんなくこなしてしまう。
言葉に頼れなくなってしまうと、こんなこともよく起こるそうだ。「馬にとって社長も秘書も関係ない」と笑いながらおっしゃっていた。
時折ウサギが野を駆ける。
都会の喧騒とは対極の風景に、時間の流れすらも忘れてしまいそうだ。
馬は近くで草を食んでいるが、私たちに対し、なにも関わることもなければ、職員の方からの触る勧めや乗る勧めもない。
ただ彼らの自然な暮らしがゆっくりと繰り広げられている。
そして、そこには馬と私たちのサイレントランゲージが交わされているのがわかる。

他のプログラムとして、いじめ対策のセッション、服役囚への教育、薬物中毒者へのセッションなども行っている。
PTSDのカタルシスも行っているそうだが、言葉をツールとして使うセラピーとは違い、言葉を使わない「サイレントランゲージ」がここでも活用されるという。
喋りたくない子供たちにとって、喋らなくていいコミュニケーションはとても有効だという。
そして、驚いたことに、ここではどのプログラムにおいても、馬に乗ることはほとんどないそうだ。
ホースセラピー=乗馬セラピーという固定観念があった私にとってこれは全く予想していなかった。
私自身20代前半の2年間、アメリカはアイダホ州の牧場でカウボーイとして馬と共に仕事をしていた経験がある。
労働環境も労働条件も仕事内容も生活環境も日本では考えられないほど過酷で、また規則として帰国はおろか、自由な買い物すら許されていなかったこともあり、精神的な拘束で毎日が苦悩の連続だった。
しかし、それはいまになって考えてみると、農業や畜産を学ぶことよりも、馬や牛や自然を相手にしたとき、もしくは自分自身にとっての困難と対峙した時、それらをどうマネージメントするかを学ぶ機会だったように思う。
事実、最初は一頭の牛を移動させるにも苦労していたが、最終的には一人で一度に200頭の牛の移動や、その牧場で働いた歴代日本人として初めての、騎乗しての20頭の馬の公道移動も行った。
ホースセラピーのプログラムでも、馬の移動というのは多く用いられるという。
気持ちに乱れや弱さがあると、牛や馬は上手くマネージメントできない。物言わぬ相手に、どういったエネルギーで対処するか。
それこそが「サイレントランゲージ」であり、思春期から抜け出せ切れずにいた私自身にとってのセラピー体験だったのかもしれない。
そして、先ほど敢えて「マネージメント」と書かせていただいたが、本来「マネージ」とは馬術用語であり「調教」を意味する。
言葉で相手を管理(マネージメント)することが多くなってしまっている現代社会だが、本来の「マネージ」とは言葉を使わない行為であることを忘れてはならない。
言葉には確かにエネルギーがあるのかもしれないが、言葉を使わないエネルギーの使い方を我々は忘れてしまってはいないだろうか。
いじめにしろ、企業経営にしろ、PTSDにしろ、言葉のエネルギーが思わぬ方向に働き、問題を起こしてしまっていることが多いように思う。
マネージとは、サイレントランゲージを用いる、いわば心と心の会話であるということだ。

遠くイギリスの歴史あるロイヤルパークで見た、言葉ではなく心を通わせるホースセラピー。
なぜこのロイヤルパークが700年以上もそこにあり続け、ステイブルが500年も運営され続けているのか、そのカギは「心」であったような気がした。
ヒトは進化の過程で言葉を手に入れた。
それにより忘れてしまったサイレントランゲージ。
それを取り戻させてくれるのは、機械でもなく、画面の向こうの世界でもなく、ほかでもない命ある仲間たちであるということだろう。
最後に、この場を借りて、ツアーで出会った皆様、こういう貴重な機会をくださったJAHA事務局の皆様にお礼を申し上げます。
the Beach Dog 藤川 勇
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第63回the Beach Dog長崎わんわんさるく&カフェ体験 参加者募集中

限定12名様にお届けする、犬と長崎さるく&カフェ体験。
今回は久しぶりの長崎市開催になります。

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そんな理由で諦めかけている方、この機会にぜひワンコとカフェにお出掛けしてみませんか。

※下見が夜だったので、写真は夜ですが、イベント自体はお昼に開催します

前回佐世保で開催した時も、「うちの子がちゃんとできるか心配でしたが、意外と大丈夫でした!楽しかったです(*^^*)」と皆様に言っていただきました。
犬は吠えるのが当たり前。
みんなで楽しく過ごせばいいじゃないですか!
それに、みんなで一緒に街を散策する間に仲良くなりますし、程よい疲れから、ほとんどの子が落ち着いてカフェでお茶することができますよ。
滅多にない長崎市開催ですし、この機会に是非ご参加ください!
きっとあなたのワンコの新たな一面を見ることができますよ(^-^)/

■内容:愛犬と一緒に長崎市内を1時間弱お散歩したあと、カフェで癒しタイム。犬のストレス発散、社会性、社交性の向上などが期待できます。
■日時:11/13(日)11:00~14:00
■集合場所:cafe Tony&Chloe前集合(長崎市浜町2-17)
■参加費:2,500円(飲食代込み)
■定員:12組
■持参品:犬の飲み物、カフェタイムにトイレが心配な子は、必ずマナーベルト・パンツ着用、お散歩グッズ
■お申し込み:0956-46-0535(ビーチドッグ)、090-7577-1654(藤川)、facebook、LINEから