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【続・15の旅 Part5】



《前回までのあらすじ》
25年くらい前かな、15の僕はアメリカにいた。
友達のお父さんに連れられて。
僕はそこで人生が変わった。
いつか僕の子供が15になったら、絶対にアメリカに連れて行こうと思っていたがその夢は叶いそうにない。
僕は代わりに15になった甥っ子と姪っ子を連れてアメリカを横断した。
横断後、僕は一人アメリカに残り旅を続けた。
特に何も予定はない。
でも、行き先は一つしかない!
僕が15年前にカウボーイとして生活した場所だ。


2019.04.08
僕はついにアイダホの牧場に到着した。
懐かしさのあまり、手は震え、涙が出そうになる。
真っ先にお世話になったボスの家に向かった。
ボスはとにかく厳しい人で、僕はボスに鍛えられたことで今があると言っても過言ではない。
何回怒鳴られたことか。
ボスに怒られないために、ボスに認められるために、一生懸命働いたのを覚えている。
ボスの家に行くとピックアップがあった。
あの頃と変わらない。
深い紺色のピックアップ。


何度かノックをししばらくすると人が出てきた。
ボスだ!!
「僕は以前この牧場で研修生として働いていた者です」
そういうと
「そうか、何年前にここにきた?」
と、僕のことは覚えていなかった。


少し寂しかったが、それはそうだろう。
ボスは若い時から日本人をたくさん受け入れてきた。
ボスは僕たちを『研修生』として大切にしてくれた。
何人目がきても『労働力』ではなく『研修生』だった。
そして、絶対に『お客様』ではなかった。
ボスはとにかく無口で言葉を発するのは僕たちを叱りつける時だけだったが、愛情は感じた。
ボスのジェスチャーや些細な行動を見て、先回りしてボスのサポートをした。
ボスはクリスマスもサンクスギビングデーも一人黙々と働いていた。
我武者羅に時を過ごせ、と僕たちに教えてくれているようだった。
何人もの日本人が彼と時を共にした。
ボスはいつも前進を止めず、300頭からスタートして僕がいる時は3000頭の仔牛がいる巨大な牧場になっていた。


そして彼はいまはアイダホ州のセネターだ。
彼は僕に人生を教えてくれた。
彼は僕の父だ。
彼のような人になりたい。
彼が生きている間に何人の人が彼から力を与えられたか。
僕はその一人だ。
彼は意識していなくとも、人の人生の大きな存在になっている。
そんな彼を僕は尊敬してる。


部屋に入ると小さな犬がいた。
以前はカウドッグを飼っていたが、いまは小さな犬。
時は流れた。
彼はもう第一線を退いているようだ。


いろいろな話をした。
彼のガレージは僕が作った。
彼の犬がピックアップから落ちて亡くなった時、彼の息子のガスと一緒に庭に穴を掘って葬った。
そんな話もした。


彼の部屋にある写真は、僕がいた時代のものだ。
僕はこの部屋で一年で唯一招いてくれるクリスマスの日にギターを弾いてカントリーソングを歌った。
今でも好きなAlan JacksonのRemember Whenだった。


裏庭に出ると馬がいた。


知ってるよ。
その馬。
僕は何回もその馬に鞍をつけたんだから。
ボスがいつでも馬に乗れるように準備をしたんだ。
彼は引退後、何頭もいる馬の中で、その馬だけを家に連れて帰り、余生を共に過ごしているようだ。
大事な仕事の時はいつもこの馬だった。


僕は聞いた「サンタは元気ですか?サンタに会えますか?」
サンタは僕と一番親しく過ごしてくれたメキシカンのカウボーイだ。
サンタはいまはこの牧場を出て、別の牧場にいるそうだ。
電話をかけてくれた。
「DJがいまからそっちに行くから」と。
地図をもらい、僕はサンタの家に向かった。

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